歩行時の「ロッカーファンクション(rocker function)」とは?

歩行時の「ロッカーファンクション(rocker function)」とは
歩くときに、足はかかとからつま先まで地面を転がるように順番に地面に接し、前方に体重移動をしていくメカニズムのことを指します。
3つのロッカー機能とは?
- ヒールロッカー(Heel Rocker)
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- 起こる時期:踵接地 (踵が地面につく時期) 〜 足底接地 (足裏全体が地面につく時期)
- 主な動き:踵を支点として足が床に接地し、足関節の底屈が起こる
- 役割:衝撃吸収と、スムーズな重心の前方移動の開始
- アンクルロッカー(Ankle Rocker)
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- 起こる時期:足底接地 〜 立脚中期 (片足で支えている時期)
- 主な動き:足関節(足首)を支点に、下腿(すね)が前方へ回転
- 役割:重心を前に送りながら、安定性を保つ
- フォアフットロッカー(Forefoot Rocker)
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- 起こる時期:立脚後期 (踵が地面から離れてつま先で支える時期)
- 主な動き:前足部(中足骨頭)を支点にして、踵が離れ、足がつま先の方に回転
- 役割:体重を前方へ押し出し、次の一歩への推進力を生み出す
ロッカーファンクションはなぜ重要か?
ロッカーファンクションの主な役割は以下の通りです。
- 歩行時の効率的なエネルギー伝達を可能にする
- スムーズな前方への重心移動と推進力を得るため
- 足や膝・股関節などへの過度な負担を軽減するため
脳卒中後片麻痺者におけるロッカーファンクションの障害
脳卒中後片麻痺者の歩行では、麻痺による筋力低下・痙縮・協調性の低下などによってロッカーファンクションが連続的に働かなくなることが多く見られます。
以下にロッカーごとに整理します。
- 1. ヒールロッカーの障害
- 典型例:踵接地ができず、前足部から接地する
原因:
— 前脛骨筋の筋力低下 → 足関節背屈が不十分なため
— 下肢全体の痙縮 → 伸展パターンが強く、踵が地面につかないため
影響:
— 踵から地面に接地できないことで、地面に接地するときの体への衝撃吸収ができない
— 接地するときの安定性が失われ、転倒リスクが大きくなる
- 2. アンクルロッカーの障害
- 典型例:下腿 (膝から下のすねの部分) を十分に前に倒すことができず、足関節背屈 (足首を上向きに動かす)の動きが制限される。
原因:
— 下腿三頭筋の痙縮や短縮 → 足関節が底屈位 (つま先が下に向く位置) のまま
— 片足で体重を十分に支えることが難しく不安定になる → 下腿が前に倒れるのを防ぐため、膝関節や股関節を曲げたりすることで代償する
影響:
— 体幹が前方へ運ばれず、歩幅が短くなる・歩行速度が低下する
— 代償的に股関節や骨盤への負荷が大きくなる
- 3. フォアフットロッカーの障害
- 典型例:つま先でしっかり蹴り出せず、すり足歩行や引きずり歩行になる。
原因:
— 運動麻痺により、下腿三頭筋や足趾屈筋の筋収縮が弱い
— 足趾の関節可動域制限 (関節の動く範囲が限られている)、足底感覚低下
影響:
— 推進力 (前方へ蹴りだす力) が不十分 → 歩行効率が著しく低下
— 体を支える安定性が損なわれ、バランスを崩すリスク
上記のように、ロッカーファンクションが障害されることによって、「車輪が転がるような連続性のある歩行」が断たれ、ぎこちない歩容になります。
その結果として、立脚期の安定性低下、歩行速度の低下、歩行効率の悪化、転倒リスクが生じるといった現象に繋がります。
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