脳梗塞・脳出血の後遺症による、歩行時の非対称性 —麻痺した足に体重をのせるのが怖い—

- 「麻痺した方の足に体重をかけると崩れそうで怖い」
「体重をかけると足が痛い」
「良い方の足に頼ってしまう方が安心」 - ——片麻痺のある方から、よく聞かれる声です。
脳卒中後遺症の片麻痺の方々の20-50%が、歩行時の非対称 (左右が対称的ではない状態) な歩き方を呈すると言われています。
特に、歩くときに麻痺した足に体重をかけられず良い方の足に頼ってしまい、
左右の足の使い方に差が生じる “非対称な歩行” は、転倒や疲労のリスクにもつながる重要な課題です。
このコラムでは、片麻痺の方に見られる歩行の非対称性とその特徴について解説します。
脳卒中後片麻痺者にみられる歩行時の非対称的な特徴
片麻痺によって歩いている際に麻痺した足へ十分に体重をかけることが難しい方には、時間的・空間的に非対称的な特徴があると先行研究にて報告されています。以下が歩行時における非対称性の主な特徴です。
- 1. 立脚時間 (地面に足が接地している時間) の非対称性
- ◎ 歩行時に、麻痺側の足で支えている時間と、麻痺した足の反対側 (非麻痺側) で支えている時間に差が出ます。
◎ 麻痺側の足で支えている時間が短く、非麻痺側の足で支えている時間が長くなる傾向にあります。
→ 麻痺側の足への荷重が難しい、あるいはそれを避けている可能性があります。
- 2. ステップ長の非対称性
- ◎ 歩いていて、片足の踵を地面についてから反対側の足の踵が地面に接地するまでの距離 (ステップ長) において、左右の足で差が出ます。
◎ 非麻痺側の足を前に出す距離が短く、麻痺側の足を前に出す方が長い傾向にあります。
→ 麻痺側での推進力や荷重支持が不十分であることが示唆されます。

- 3. 単脚支持時間 (歩行時に片足で身体を支えている時間) の非対称性
- ◎ 麻痺側の単脚支持時間が、非麻痺側と比べて短縮する傾向が多いです。
→ 麻痺側の足で支えるのが不安定であることや、荷重に対する不安を反映している可能性があります。

- 4. 両脚支持時間 (歩行時に両足が同時に地面についている時間) の非対称性
- ◎ 麻痺側の足から非麻痺側の足へ体重を移すときに時間がかかる方もいれば、その反対の方もおられます。
→バランス能力低下や麻痺側の足で支える力の低下との関連性が示唆されます

- 5. 荷重量の非対称性
- ◎ 麻痺側の足に体重をかける量が、非麻痺側の足にかける体重量と比べて低下する傾向にあります。
→ 麻痺側への体重支持が不十分である可能性があります
- 6. 立脚期 (地面に足がついて支えている時期) における重心移動の軌跡の非対称性
- ◎ 麻痺側の足で支えている時期では、前方への重心移動が上手く行えず軌跡の距離が短縮する傾向にあります。
→ロッカーファンクションの障害や動的バランス (身体が動いている時に姿勢を安定させる能力) の低下の可能性があります

- 7. 体幹・骨盤の傾きの非対称
- ◎ 歩行時に麻痺側への荷重を避けるため、体幹や骨盤が非麻痺側へ傾く方もおられます。
→ 安定した方の足に重心を傾けるための代償的な方法をとっていることが示唆されます
上記の他にも、非麻痺側への荷重の偏りは歩行速度・ステップ長・運動機能の低下と関連していると先行研究で報告されています。
以上のことから、麻痺側の足へ体重を移動する能力を改善することによって、歩行速度の向上や効率的な歩行動作につながりやすいと言えます。
- このような背景を踏まえ、歩行の非対称性に対するリハビリでは以下のようなアプローチが重要になります。
-
- 麻痺側の足への自発的な荷重支持練習 (立ち上がり、立位姿勢、歩行時)
- バランストレーニング (麻痺側の足で片脚立ち、重心移動、姿勢保持課題など)
- 対称性を意識した歩行トレーニング
「麻痺側の足に体重をかけるのが怖い」「転んでしまわないか不安」…という方も、どうぞ一人で悩まずご相談ください。
re-HAVEでは、安全に配慮しながらそうした不安を一緒に乗り越えていけるようリハビリを進めていきます。
また、re-HAVEでは、おひとりお一人の目標やニーズに合わせ、オーダーメイドのリハビリを完全マンツーマンで実施しています。
まずはお困りのことについてお気軽にご相談、お問い合わせ下さい。
※施設の見学・無料カウンセリング・リハビリ体験も随時受付中です。