「もう手は良くならない」と言われた理由とは― 退院後に改善しにくくなる背景 ―
京都市下京区・四条烏丸の自費リハビリ施設 re-HAVE(リハブ)です。
今回のコラムでは、「もう手は良くならない」と言われた脳卒中後の方に向けて、退院後に改善しにくくなる背景と評価の視点について説明します。
はじめに|「もう手は良くならない」と言われた瞬間に起きていること
退院前後や、回復期の終盤で、
「手はこれ以上は難しいですね」
「歩行は大事ですが、手は今後の課題ですね」
「日常生活では、もうこの使い方で慣れていく形になります」
こうした言葉をかけられた経験がある方は少なくありません。
その瞬間、多くの人は「もう何をしても変わらない」と受け取ってしまいます。
でも、その言葉は本当に「手はこれ以上良くならない」という意味だったのでしょうか。
このコラムでは、
- なぜその言葉が出てくるのか
- それは何についての判断なのか
- 退院後に「改善しにくくなる」と言われやすい背景には、どんな構造があるのか
を、感情論ではなく整理の視点で解いていきます。
⭐退院後のリハビリ全体像や、歩行・手の麻痺がなぜ改善しにくくなるのかについては、
「脳卒中後の退院後リハビリの全体像|歩行・手の麻痺が改善しにくい理由と対策」でまとめて解説しています。
「もう良くならない」は、何について言われているのか
まず最初に整理しておきたいのは、その言葉が「何を対象にしているのか」です。
多くの場合、「もう良くならない」と言われているのは、脳損傷や病原そのもの、分離運動や随意的な動きといった、運動機能そのものの自然回復についてです。
回復期のある時点を過ぎると、目に見える麻痺の改善スピードが落ちる、新しい動きが増えにくくなるという現象が起こります。
その事実を説明する際に、「これ以上は難しい」「大きな変化は出にくい」という言葉が使われることがあります。
しかしここで注意したいのは、動くかどうか、力が入るかどうか、といった評価と、生活の中で使えるか、使いづらさが減るか、動作が楽になるかは、同じものではないという点です。
この区別が十分に共有されないまま、「もう良くならない」という言葉だけが残ってしまう。それが最初のズレになります。
退院後に「手の麻痺」が改善しにくくなる構造的な理由
「もう良くならない」と言われやすい背景には、本人の努力不足とは関係のない構造的な理由があります。
- 理由①|「動くかどうか」で評価が止まりやすい
- 退院前後の評価では、
♣️指が動くか
♣️握れるか
♣️力が入るか
といった点が一つの区切りになりやすくなります。
その結果、
📌生活の中でどこが使いにくいのか
📌なぜその動作が難しいのか
といった詳細の評価が、十分に行われないまま次の段階に進むことがあります。
「動くから大丈夫」「これ以上は大きく変わらない」
この判断が、生活動作レベルでの検証の機会を止めてしまうことがあります。
- 理由②|退院後は「手を深く見る時間」が急激に減る
- 回復期病院では、毎日のリハビリ、専門職が一定時間、手の動きを観察する環境があります。
一方、退院後は、
♣️訪問や外来の頻度が下がる
♣️歩行や移動、転倒予防が優先される
♣️手の細かい動きは後回しになりやすい
という現実があります。
これは「手が軽視されている」というよりも、限られた時間の中で優先順位がつけられている結果です。
その中で、手の使いにくさは「そのまま残る」ことがあります。
- 理由③|誤った使い方が、生活の中で固定化しやすい
- 退院後、生活に戻ると、
♣️早く済ませたい
♣️失敗したくない
♣️家族に迷惑をかけたくない
という理由から、無意識に健側に頼る場面が増えます。
その結果、使いにくい手は避ける、できない動作はやらなくなるという選択が積み重なります。これは怠けでも意識の問題でもなく、生活環境がそうさせているだけです。
ただし、そのまま時間が経つと、「使わない使い方」が定着しやすくなります。
「動くのに使えない手」が生まれる理由
よく聞かれるのが、次のような状態です。
✳️力は入る
✳️動かそうと思えば動く
✳️でも生活では使えない
この場合、問題は「手」そのものだけとは限りません。
- 姿勢が崩れたまま使っている
- 体幹や肩の支持が不安定
- 両手動作の中で役割が整理されていない
- タイミングが合っていない
こうした要素が整理されないまま、「手が悪い」「麻痺が重い」とまとめられてしまうことがあります。
結果として、「動くけど使えない手」が出来上がってしまいます。
それでも「改善の余地」が残るケースとは
ここで言う改善とは、新しい動きが生まれる、麻痺が完全に消えるという意味だけではありません。
多くの場合、変わるのは、
⭕使える場面が増える
⭕負担が減る
⭕無意識に避けていた動作ができるようになる
といった点です。
改善の余地が残りやすいのは、次のようなケースです。
🔆評価が「動く/動かない」で止まっている
🔆生活動作として整理されていない
🔆手と姿勢・体の使い方の関係が見直されていない
こうしたケースです。
「もう良くならない」と言われた理由が、機能の限界なのか、整理が止まった結果なのか。
そこが分かれ目です。
「もう良くならない」と言われたときに確認してほしいこと
もし今、手の使いにくさが残っているなら、次の点を一度確認してみてください。
✅どの動作で使いづらいのか、具体的に説明できるか
✅なぜその動作が難しいのか、言葉で整理されているか
✅手だけでなく、姿勢や体全体との関係を見直されたことがあるか
これが曖昧なままなら、「限界」と判断するには情報が足りない状態かもしれません。
その言葉は「終わり」ではなく「区切り」かもしれない
「もう手は良くならない」という言葉は、医学的な自然回復の区切りや制度上のリハビリ期間の区切りを指していることが多くあります。
それが、生活での使いやすさ、動作としての可能性まで含んでいるとは限りません。
大切なのは、何について、どこまで整理された上で言われた言葉なのかを見直すことです。
カウンセリング・リハビリ体験のご案内
退院後、「もう手は良くならない」と言われたその状態が、本当に整理し尽くされた結果なのか、それとも、評価されないまま残っている部分があるのか、
それを一度確認するだけでも、これから何を考えるべきかが見えてきます。
体験や契約を前提にする必要はありません。
ご本人が迷っている場合は、ご家族だけでのご相談から始めることも可能です。
実際の体験や評価の流れについては、以下のページで詳しくご案内しています。
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