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回復期で改善しなかった歩行・手の麻痺は本当に限界なのか―「運動機能の回復」と「改善の可能性」を分けて考える―

回復期で改善しなかった歩行・手の麻痺は本当に限界なのか―「運動機能の回復」と「改善の可能性」を分けて考える―

京都市下京区・四条烏丸にある自費リハビリ施設 re-HAVE(リハブ)では、脳卒中後の片麻痺による歩行や手の麻痺のリハビリを専門としています。

はじめに
「回復期が終わったから、もうこれ以上は良くならない」
「歩行も手も、ここが限界だと言われた」
脳卒中後の方やご家族から、こうした言葉を聞くことは少なくありません。
確かに、医療の世界では回復のピークについて語られることがあります。
ただし、それは本当に“改善の限界”を意味しているのでしょうか。

このコラムでは、
— 医学的に言われている「運動機能回復の限界」
— それでも慢性期に変化が起こる理由
— 回復期を終えたあとに“整理されないまま残りやすい問題”
を整理しながら、「限界」という言葉の正体を、誤解のない形で解きほぐしていきます。
 
🐼退院後の歩行や手の麻痺について、全体像を整理したページもご用意しています。
 詳細はこちら↗


脳卒中後、運動機能はいつまで回復すると言われているか?

脳卒中後の運動麻痺の機能回復は、主に「自然回復(神経学的回復)」を中心として、

  • 発症後おおよそ3〜6か月が中心
  • 特に随意運動や筋力の回復は早期に起こりやすい

と、多くの研究で報告されています。

このため、「半年を過ぎると機能回復は頭打ちになる」と言われることがあります。

ただし、ここで重要なのは、これは“運動機能そのもの”の話であるという点です。

  • 運動麻痺の程度
  • 分離運動の出現
  • 単関節レベルの随意性

といった指標で測られる回復が、時間とともに緩やかになる、という意味です。


「運動機能の回復の限界」=「改善の限界」ではない理由

問題は、この話がいつの間にか「もう良くならない」という意味で使われてしまうことです。

実際には、

  • 動作の安定性が増し、安心して動けるようになる
  • 歩行や移動にかかる負担が減り、疲れにくくなる
  • 無意識に行っていた代償動作が整理され、身体が楽になる
  • 日常生活の中での「やりづらさ」が減っていく

といった要素は、運動機能が大きく変わらなくても改善することがあります。

つまり、運動機能の回復が頭打ちになる≠ 動作や生活の質がこれ以上変わらない

というわけではありません。

慢性期に起こる「改善」は、新しい機能が生まれるというよりも、

✅身体の使い方が整理される

✅どこに負担がかかっているかが明確になる

✅評価や練習の視点が変わることで、動作が洗練される

ことで表に出てくるケースが多いのです。

慢性期でも変化が出る人に共通すること

「慢性期でも改善する人には、どんな特徴があるのか」

という問いに対して、明確な身体的条件を示す強いエビデンスはありません。

ただし、これまでの報告や臨床の積み重ねを整理すると、次のような“共通点”が見えてきます。

①これまで「どれくらい動くか」という運動機能を中心に状態が説明されていた
回復期では、
🏷️筋力はどれくらいあるか
🏷️関節はどこまで動くか
🏷️麻痺の程度はどのくらいか
といった点をもとに現在の状態が説明されることが多くあります。

これは医療としてとても重要な視点です。
一方で、
🔖実際の生活動作の中で、どこが大変なのか
🔖どういう場面で疲れやすいのか
🔖無理をしている動きがどこにあるのか
といった点は、あまり言葉にされないまま退院を迎えることもあります。

そのため、「動くと言われているけれど、生活ではつらい」というズレが、あとから表に出てくることがあります。



② 実際の動作に即した練習が、十分な量で行われた
🏷️歩行の問題であれば、歩行そのものを繰り返し練習する。
🏷️手の問題であれば、日常生活に近い操作を中心に練習する。
このように、「必要な動作を、必要な形で、十分な回数行う」という介入が行われた結果として、慢性期でも変化が見られたと考えられるケースです。

つまり、慢性期に突然回復が起きたというよりも、これまで足りていなかった量や質が補われた結果と言えます。



③ 「使えていないが、動く余地」は残っていた
特に上肢では、
🏷️うまく動かない経験が続いたことで、使わなくなっていた
🏷️代償動作に頼るうちに、使わない動作パターンが定着していた
というケースが少なくありません。
 
こうした場合、新しい機能が生まれたというよりも、これまで整理されていなかった動きが見直され、「再び使われ始めた」状態と考えられます。


🐰補足🐰
歩行と手の使いにくさは、日常生活の中で 同時に影響し合う場面 が多くあります。
📍立ったまま手を使う
📍歩きながら物を持つ
📍移動中に姿勢を保ちながら操作をする
こうした動作は、退院後の生活の中で初めて頻繁に行われることも少なく、
そのため 回復期では大きな問題として表れなかった違和感が退院後になって気づかれるケースも少なくありません。
 
「歩行は問題ないと思っていたが、生活では不安が残る」
「手は動くが、動作になるとうまく使えない」
 
こうした声が出てくる背景には、歩行と手が同時に使われる場面での負担が整理されていないという要素が関係していることがあります。


「限界」と言われたあとに見直すべき視点

回復期で改善しなかったからといって、それがその人の限界だと即断するのは、少し早いかもしれません。

見直すべきなのは、

  • どんな評価が行われてきたか
  • 動作のどこが整理されないまま残っているか
  • 生活場面での使い方が検証されているか

といった点です。

運動機能の回復には限界があります。

しかし、動作の質や負担の整理には、まだ余地が残っていることも多いです。

そこに目を向けることが、慢性期のリハビリを考えるうえでの出発点になります。

※退院後に起こりやすい変化や、歩行・手の麻痺がどう残りやすいのかについては、以下のページで全体像としてまとめています。

🔎退院後リハビリで起こりやすい問題と考え方を整理したページはこちら↗


カウンセリング・リハビリ体験のご案内

当施設では、

  • 今の歩行や手の麻痺が、どのような状態なのか
  • どこが整理され、どこが整理されないまま残っているのか
  • 現時点で、何をする意味があるのか/ないのか

といった点を、評価と説明を通して丁寧にお伝えしています。

まずは、“今の状態を正確に知る”そのための時間としてご利用いただけます。

体験や契約を前提にする必要はありません。
ご本人が迷っている場合には、ご家族だけでのご相談から始めることも可能です。

実際の体験や評価の流れについては、以下のページで詳しくご案内しています。

 


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