【片麻痺者の分回し歩行② 運動学編】分回し歩行を「関節の動き」で見るとどうなる?― 膝・足関節の動きから考える原因 ―
京都市の四条・烏丸にある自費リハビリ施設『re-HAVE(リハブ)』では、脳梗塞や脳出血などの神経系疾患を専門としたリハビリを提供しています。
本記事は「片麻痺者の分回し歩行」をテーマにしたシリーズの一部です。
② 運動学編:膝・足関節の動きから見る分回し歩行 👉本編
③ 装具編:短下肢装具(AFO)で変わる人・変わらない人↗︎
前回の【機能編】では、筋力・感覚・バランスなどの身体機能の視点から、その背景を整理しました。
本記事では【②運動学編】として、「歩行中に膝や足関節がどのように動いているか」という視点から、分回し歩行を考えていきます。
分回し歩行を「関節の動き」で捉えるという視点
分回し歩行は、片麻痺者に多くみられる特徴的な歩行パターンです。
一方、同じように分回し歩行が見られても、歩行中の関節運動を詳しく見ると、その中身は人によって異なります。
まずは、正常歩行において下肢の関節がどのように動いているのかを整理します。

正常歩行では、歩行中に下肢の関節はどう動いているのか
- 歩行の中でも、分回し歩行と特に関係が深いのが遊脚期です。
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遊脚期とは、足が地面から離れ、次の一歩を前に出す時期を指します。
この遊脚期では、
- 膝関節:一度曲がり、その後伸びていく
- 足関節:つま先が地面に引っかからない位置に保たれる
といった調整が行われており、「ずっと同じ動きをしている」わけではありません。

*図:Grazia Cicirelli らによる ‘Gait Cycle phases and sub‑phases’(CC‑BY 4.0)より引用
遊脚期を通して、「つま先が地面に触れないように、膝と足関節の動きが協調してコントロールされている」
これが正常歩行の特徴です。
つまり、膝と足関節はそれぞれ役割は違っても、「クリアランス(つま先が地面に引っかからないこと)を確保する」という同じ目的を共有しています。
膝の動きから見る分回し歩行
歩くとき、遊脚期に膝の曲がりが不十分だと、脚全体が突っ張ってしまい、そのままではつま先が地面に引っかかりやすくなります。その結果、足を外に振り出すといった動きで補うことがあります。
分回し歩行は、膝の動きが十分に使えない中で、つまずかないために選ばれた代償動作です。
つまり、分回し歩行は「原因」ではなく、関節運動の不足に対する「結果」として現れているという点です。
また、膝の動きが不十分でも、足関節の使い方や他の関節との協調が保たれていれば、分回し歩行が目立たないケースもあります。
足関節の動きから見る分回し歩行
次に、足関節の動きに着目します。
足関節の背屈が十分に使えないと、
- つま先が下がりやすい
- 地面に引っかかりやすい
- 「またつまずくのでは」という不安が強くなる
といった状況が生じます。
このつまずきへの不安は、歩行パターンに大きな影響を与えます。
その結果、「少し外に回してでも、確実につま先を浮かせたい」という安全を優先した戦略として、分回し歩行が選ばれることがあります。
ここでも重要なのは、足関節の動きだけを切り取っても、分回し歩行は説明しきれないという点です。
膝の動きとの組み合わせによって、分回し歩行の出方は大きく変わります。
なぜ膝と足関節は「セット」で考える必要があるのか?
ここが、本記事の最も重要なポイントです。
膝と足関節はどちらも、遊脚期のクリアランスを確保するという同じ課題を担っています。
- 膝の動きが不足すれば、足関節や股関節で補おうとする
- 足関節の動きが不足すれば、膝や股関節で補おうとする
- 両方が不足すれば、より大きな代償として分回しが強くなる
そのため、「膝が悪い」「足首が悪い」と単体で評価するだけでは、分回し歩行の本質にはたどり着けません。
特定の関節だけの問題ではなく、下肢全体の協調性の問題として現れている歩き方と言えます。
分回し歩行の改善には「評価」が重要
分回し歩行は見た目で分かりやすい一方、「どこが硬いか」「どの筋が弱いか」だけでなく、歩行中に関節がどう使われているかを見極めることが必要不可欠です。
重要なのは、歩行中に
- どの関節が
- どのタイミングで
- どの程度使われているのか
を実際の歩行の中で捉えることです。
同じ分回し歩行に見えても、背景にある関節運動の問題は人によって異なります。
そのため、改善の方法も一律ではありません。
当施設では、歩行を専門的な視点で確認し、膝・足関節を含めた下肢全体の動きをもとに、
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