手が握ったまま開かない・離せない ~離す動作改善のリハビリ方法~|脳卒中リハビリの手の麻痺シリーズ④
京都・四条烏丸の脳梗塞・脳出血後のリハビリを中心とした自費リハビリ施設「re-HAVE (リハブ)」の理学療法士の木村です。
前回のシリーズ③では、「手がこわばる・固まる背景には複数の要素がある」ことを解説しました。
今回のシリーズ④では、もっと具体的な日常場面で起こる
「握ったものを離せない」
「持った後、手が開かない」
という生活上の困りごとに絞って解説したいと思います。
脳卒中後によくある「手が離せない」場面
実際に患者さんからよく相談される例は以下の通りです。
- 買い物袋を持ったまま指が開かない
- タオルや布を掴むと手が固まる
- リハビリでボールを持った後、離せない
- 介助者の手を握ったまま離せず戸惑う
ポイントは、「持つことはできるが、離すのが難しい」という点です。
これは脳卒中後の典型的な手の麻痺の特徴です。
脳卒中後に手が開かない・離せない原因
詳しいメカニズムは前回のシリーズ③をご参照ください。
指を開く・離す動作には以下の条件が揃う必要があります。
- 指を開く筋肉(伸筋群)が働くこと
- “力を抜く”という調整ができること
- 肘や肩の余計な力が抜けていること
- 力の強さや指の位置を“感じ取れる感覚”があること
脳卒中後はいずれか、または複数の条件がうまくいかず、
「握る → 固まる → 開けない」という現象が起こります。
手が開かない・離せないときのリハビリ改善ステップ
- STEP1:手のひら・指の硬さを取る(準備段階)
■ 指の一本ずつの動きの確保
■ 手のひらのストレッチ
物理的な硬さが残っていると「そもそも開けない」ため、最初に取り組む重要なステップです。
- STEP2:肘・肩周囲の緊張を下げる(腕全体の力を抜く)
- 離す動作は指だけでなく、肩・肘・前腕など上肢全体の力の影響を受けます。
どこか一部でも力みが残ると、その緊張が指先まで波及し、“開きにくい”“離せない” という状態につながります。
そのため、
■ ゆっくりとしたリズムの動き
■ 電気刺激(主に前腕)
■ 肩甲骨・肩・肘・前腕・手首の脱力練習
を組み合わせて、腕全体の緊張を整えます。
- STEP3:指を開く筋肉(伸筋群)を呼び起こす
- 指を伸ばす筋肉は、脳卒中後に最も弱りやすい筋肉です。
■ 電気刺激による促通
■ 「軽く開く」練習から開始
■ 指を揃えて開く → 一本ずつ開く
このステップで、開く動作を脳に再学習させます。
- STEP4:握る → 力を抜く の切り替え練習(運動制御)
- 多くの方が最も難しいのが、力のオン/オフの切り替えです。
■ ゆっくり握る → ゆっくり開く
■ ボールを軽く握る → 力を抜く
■ 小さな物 → 大きな物へ段階的に
■ 握りすぎないように調整する
この練習をすることで、“離す”がスムーズになりやすいです。
- STEP5:生活動作での応用練習(実践)
- ■ タオルを持つ → 放す
■ ペットボトルの持ち替え
■ 箸やスプーンを握る → 置く
■ ドアノブを握る → 回して → 手を放す
■ リモコン・テレビのコントローラーを掴む → 置く
■ スマホを持って → テーブルにそっと置く
目的は、生活の流れの中で自然に手を開く・離す動作を身につけることです。
リハビリでできても、実際の生活場面でできなければ意味がありません。
「持つ → 運ぶ → 開く」の流れが含まれる生活動作はすべて練習になります。
「日常で手が離せず困っている」方は、当施設でのリハビリ体験で実際の動きを確認できます。
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- 当施設では、
- 🌻関節や筋肉の硬さの評価
🌻腕全体の緊張状態の評価
🌻指を開く筋肉の促通
🌻電気刺激装置「WILMO」**との併用
🌻生活動作に直結した動作練習
まで、一貫してサポートしています。
「握ったまま離せない」
「生活で困っている」
という方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
手が開かない・離せない理由は複合的ですが、改善の鍵は以下の4ステップです。
① 開く準備(硬さ・緊張を取る)
② 開く筋肉を働かせる
③ 力の切り替え(運動制御)
④ 生活動作での応用
の4ステップです。
あなたの手の状態を詳しく評価し、最適な方法で改善をめざします。
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