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エビデンスに基づく実践  ーその重要性と効果的なリハビリとは?ー

エビデンスに基づく実践  ーその重要性と効果的なリハビリとは?ー

こんにちは!脳梗塞や脳出血のリハビリに特化したリハビリスタジオ「re-HAVE」の理学療法士  木村です。

今回は当施設のリハビリの方針の1つでもあるエビデンスに基づく実践とその重要性についてのお話です。

リハビリにおけるエビデンスに基づく実践(EBP:Evidence-Based Practice)とは? 

エビデンスに基づく実践とは、

 ①最新かつ最良の研究成果

 ②臨床的専門知識

 ③患者の価値観

の3つの要素を統合して、個々の患者にとって最適なリハビリの意思決定を行うプロセスです。

EBPの3つの要素

1.  最良の利用可能な科学的根拠(エビデンス)

ガイドライン、システマティックレビューや無作為化比較試験など、質の高い最新の研究結果に基づいて、リハビリプログラムの方針を決定します。

2. 臨床的専門知識

臨床家が有する専門知識や経験を踏まえ、各個人の身体の状況に応じて、エビデンスをどのように適用するかを判断する能力です。

3. 患者様の価値観・希望

ご本人様の目標、課題、ニーズ、期待、生活状況、社会的背景などを尊重し、リハビリプログラムの意思決定に反映させることです。

エビデンスに基づくリハビリがなぜ重要か?

リハビリの提供において「より効果的で、安全で、その人に合ったリハビリを提供するために重要です。

①より効果が期待できる

多くの研究で効果があると示されているリハビリの方法を選択するため、改善につながりやすいです。

つまり、慣習や勘に頼るのではなく、科学的に効果的と示された根拠に基づいたリハビリを行います。

②より安全性が高い

科学的な研究結果で確かめられた方法だから、効果の示されていないリスクのあるリハビリを減らすことができます。

例えば、”効果があるかわからないけどとりあえず試してみよう”と間違った薬や用量を処方され服用すれば、副作用や重篤な健康被害が生じる可能性がありとても危険です。

リハビリではお薬のように生命の危険に至ることはないかもしれませんが、ご利用者様により安全で安心してリハビリを受けていただくために重要です。

③各個人に最適なリハビリプログラムを選択できる

リハビリを提供する側がリハビリ内容を一方的に決めるのではなく、各個人の生活・社会的背景や、ご希望、ニーズをふまえて、最適なリハビリプログラムを一緒に考えることが大切です。

その結果、効果的で効率的なリハビリの提供につながりやすく、ご利用者様の満足度も向上します。


エビデンスに基づくリハビリの具体的な例:「バランストレーニング」編

たとえば、脳卒中後のリハビリでは「バランス練習」や「実際の動作に近いリハビリ」が効果的だと研究結果で示されています。こうしたエビデンスをもとにしたリハビリを行うことで、歩行能力の改善や転倒予防につながり、生活の質が大きく向上します。

■ご利用者様の状況

 65歳女性、脳卒中後、歩行は可能だが転倒が怖く、「キッチンで料理中によろけるのが不安」と訴える。

■エビデンス(研究による推奨)

 バランス能力の改善には、「日常生活に即した動的バランストレーニング」が効果的。

 例:視覚や足場を変化させた練習、立位での課題達成(片足立ち、荷物を持ちながら立つ)など。

■臨床的専門知識(セラピストの判断)

 「台所での立位保持」が不安とのことなので、実際の動作に近い姿勢や環境で実施。

 例:「前かがみでフライパンや鍋を取るリーチ動作」や「調理台に向かって立つ姿勢での重心移動」を課題に取り入れる。

■本人の希望

 「また自分で料理を作りたい」という願いがある。

→このケースでは、“安定して立ったまま料理ができる” ことを目標にリハビリ計画を立てることで、より安全かつ効果的で、日常生活での改善が期待できます。

まとめ

エビデンスに基づくリハビリは、「安全」で「効果的」、そして「あなたに合った」リハビリです。
勘や慣習に沿ったリハビリではなく、可能な限り科学に裏付けられたリハビリ方法で取り組むことが重要です。


当施設では、ご家族様を含めたご利用者様のご意向、ニーズ、目標や価値観を丁寧にお伺いしながら理解し考慮することで、目標に沿った最適なプログラムを提供しています。

リハビリの質にこだわり、エビデンスに基づいたアプローチでご利用者様の生活の質 (QOL) 向上をサポートしています。

いま抱えておられるお悩みについてお気軽にご相談、お問い合わせ下さい。


※施設の見学・無料カウンセリング・リハビリ体験も随時受付中です。