脳梗塞や脳出血後の手指の運動麻痺について

こんにちわ!京都・四条烏丸で、脳卒中後の片麻痺のリハビリに特化した「re-HAVE (リハブ)」の理学療法士、木村です。
今回は、脳卒中後の手指の運動麻痺について、
「手が動かなくて困っている」
「良くなる見込みがあるか知りたい」
という方に少しでも役に立つ情報をお伝えしたいと思います。
- 脳卒中後の麻痺で手が動かしくくなったという悩みを抱える方は多くおられます。
先行文献では、発症後6か月の脳卒中後片麻痺者では約30~50%の方が手指の麻痺が残存しており、特に発症直後から中等度・重度の麻痺がある方で障害が残りやすいと報告されています。 - ☑ 物をつかもうとしても、指が開かないからつかめない
☑ 意識して動かそうとしても思い通りに動かない
☑ 指を曲げると他の指も一緒に曲がってしまう (それぞれの指をバラバラに動かせない)
☑ 手が曲がったまま固まってしまう / 何かを持つと離せなくなる
これにより、日常生活において、物を取るのが難しい、ボタンを留めれない、トイレでズボンの上げ下ろしがしにくい、料理が出来ない、など大きな支障をきたします。
脳卒中後に片麻痺を発症した方の手指では、主に以下のような神経学的および筋骨格系の症状が報告されています。
※ 脳の損傷部位や重症度により異なります
- 1. 運動麻痺:自分の意思でうまく動かせなくなる状態
- 脳卒中によって脳の運動野やその下位の経路(錐体路)が損傷されると、反対側の手指の随意運動が障害されます
- 特に指の伸展が障害されやすいです
- 手指の巧緻動作 (つまむ・はさむ・握るなど) が困難になります
- 2. 筋緊張異常
- 筋緊張の異常には、筋緊張の亢進、痙縮、筋緊張の低下、完全弛緩性麻痺、固縮があります
- 発症初期は弛緩性麻痺、回復期以降は筋緊張亢進 (痙性麻痺)が多いです
- 特に痙縮 (神経筋が自分の意志とは関係なく過剰に活動し緊張する状態)は、手指屈筋群で起こることが多く、指が握り込まれたまま開きにくい、他動的に動かそうとすると抵抗感(鉛管様・歯車様)があるといった症状を呈します
- 3. 拘縮:関節が固まって動かしにくくなった状態
- 麻痺によって筋肉が動かせない、長期にわたり筋緊張が高い、関節を十分に動かせない状態が続くと、関節の可動域が制限され、拘縮が生じます
- 特に手指の屈曲拘縮が多いです
- 筋腱や関節包の短縮により構造的に動きが制限されます
- 4. 感覚障害
- 脳卒中で感覚野や感覚伝導路が損傷されると、以下のような感覚異常が起こり、手指の巧緻動作にさらに悪影響を及ぼすことがあります。
- しびれ(異常感覚)
- 触った感覚、痛み、温度感覚に鈍感になります
- 関節の位置や動かした感覚 (深部感覚) が鈍感になります
- 5. その他
- 運動異常(ミオクローヌス・ジストニアなど)、反射の亢進・病的反射など
以上のように脳卒中後の手指の症状は、運動麻痺・痙縮など複数の症状が混合して生じるため、”指が曲がったまま” “伸びにくい”といった症状の原因は個人によって異なり、各個人の症状に合わせた最適なリハビリを行うことが重要です。
手指の運動麻痺に対して、どんなリハビリが効果的?
脳卒中リハビリテーション のガイドライン (日本を含めたイギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダ) では以下の主要なアプローチが推奨されています。
- CI療法 (constraint‐induced movement therapy (CIMT))
- 反復課題・高負荷トレーニング
- 電気刺激療法
- 課題指向型トレーニング
- ミラーセラピー
re-HAVEでは、これらのアプローチをはじめ、お一人おひとりの課題や目標に合わせたオーダーメイドの完全マンツーマンでのリハビリを提供しています。
また、グループ企業エスケーエレクトロニクス社が、製造販売する医療機器「電気刺激装置「WILMO(ウィルモ)」もご利用いただけます。

- 電気刺激装置「WILMO」について
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- 神経促通刺激を与え、上肢麻痺の筋萎縮改善を促します。
- 随意運動の筋電検出に比例した電気刺激をリアルタイムに出力するため、より正確な運動学習効果が期待できます。
- パワーアシスト:随意運動に合わせて電気刺激を行うことで収縮運動の介助を行います
- ウェアラブル:装着型のデバイスのため日常生活の中で使用できます
- バイオフィードバック:目視では確認できない麻痺側手指の筋活動をリアルタイムで可視化して確認することができます
それでは冒頭で述べた「手指の麻痺が良くなる見込みがあるか?」の話に戻ります。
本質的には、手の動かしにくさの原因はそれぞれ各個人で異なるため、実際にお身体の状態をお伺いしながら確認させていただかないと判断することは難しいです。(ありきたりな回答で申し訳ないです)
しかし、個人的な見解としましては、
- ある程度、ご自身の意思で麻痺側手指の関節を動かせる方は、リハビリで手指の運動を繰り返すことで、現状よりも改善が見られる可能性があります。
- ご自身の意思で麻痺側手指の関節を動かすことが難しくても、手が曲がって固まってしまった状態を改善させることで日常生活の中で補助的に麻痺側の手指を使うことが出来る可能性があります。
- 上記でご紹介した「WILMO」は麻痺側の手の微細な筋活動を検出できるため、可能性として、人の肉眼では見えない麻痺した手の筋肉の収縮が分かるかもしれません。
- 「良くなる」という概念も多様です。
- 指が曲がって固まってしまっていた → 指が開くようになった
- 麻痺した手の動きは大きく変わらないけど、動きのコツを学ぶことで料理や食事をするときに麻痺した手をうまく使えるようになった
- 非麻痺側で上手に着替えることが出来るようになった
代替手段を練習することで、日常生活の動きがスムーズになるかもしれません。
まずはお困りのことについてお気軽にご相談、お問い合わせください!
※施設の見学・無料カウンセリング・リハビリ体験も随時受付中です。