パーキンソン病はなぜすぐ疲れる?歩行効率の視点で原因を徹底解説|【パーキンソン病編】疲れやすさと歩行効率シリーズ④
京都市の四条烏丸にある自費リハビリ施設『re-HAVE(リハブ)』では、パーキンソン病や脳卒中を中心に、お一人おひとりのニーズに合ったリハビリを提供しています。
パーキンソン病で増える「歩行の悩み」
パーキンソン病になると、
「歩くとすぐ疲れる」
「歩幅が小さくなり前に進みにくい」
「すくみ足で踏み出せない」
といった歩行の悩みが増えてきます。
しかし、これらは 年齢や体力の問題だけではなく「歩行効率が低下していること」 が大きな原因です。
本コラムでは、
🟡 なぜパーキンソン病は疲れやすくなるのか
🟡 その背景にある“歩行効率の低下”とは何か
🟡 すくみ足・小刻み歩行の原因
をやさしく解説します。
「歩ける距離を伸ばしたい」
「外出の不安を減らしたい」
「疲れにくい身体に戻したい」
そんな方のための内容です。
この記事では、ICF(身体機能 → 歩行パターン → 生活) の視点と、歩行効率 の観点から、パーキンソン病で“疲れやすくなる歩行”を徹底解説します。
パーキンソン病の歩行が“疲れやすい”理由
パーキンソン病でよく見られる歩行の特徴は以下です:
- 小刻み歩行
- すり足
- 前傾姿勢
- すくみ足
- 腕振りの減少
これらは単なるクセではなく、身体内部の変化によるものです。
その結果、
🚩一歩が小さく歩数が増える
🚩足の離地が浅くなり、すり足になる → 安全を保つため筋肉が常に緊張する
🚩姿勢の崩れを支えようと別の筋肉が働き続ける
といった理由から、歩行効率が大きく下がり疲れやすくなります。
つまり「疲れやすい=体力がない」ではなく、「効率の悪い歩き方になっている」 のです。
身体機能レベル(Impairment)で起こる“疲れやすさ”の原因
パーキンソン病では、体の内部で以下の変化が起こります。
- 🌳無動(動き出しにくさ)
- 動作を始めるのに時間がかかり、「動き出すまでに余計なエネルギー」が必要になります。
一歩踏み出す、立ち上がる、向きを変えるなど、動くたびに余分な力を使うため、疲れやすくなります。
- 🌳 筋固縮(体のこわばり)
- 体幹〜股関節周りが硬くなり、スムーズに歩きにくくなります。
本来は振り子のように自然に動く身体が使えず、筋力で無理に動かす歩き方になり、すぐに疲れてしまいます。
- 🌳姿勢反射障害(バランスを保ちにくい)
- 体の重心が前にずれやすくなり、倒れないように体幹や脚の筋肉が常に力を入れた状態になります。その結果、歩くだけでもエネルギー消費が増えます。
- 🌳安静時振戦(ふるえ)
- じっとしていても起こるふるえ自体が、体力を消耗する原因となり、歩行の効率も下げます。
- 🌳可動域の低下(体の動く範囲が狭くなる)
- 股関節や体幹が動きにくくなると、歩幅が小さくなり → 歩数が増え → 疲れやすい歩き方になります。
代償動作が“疲労”を生む理由
小刻み歩行は、筋力が弱いから起こるわけではありません。
身体が「転ばないために、安全な歩き方」として選んでいるのです。
- 前傾姿勢の代償
- 前に倒れそうな重心を支えるため、
背中側の筋肉がずっと緊張し、体幹が疲れやすくなります。
- 腕振りが減る
- 腕振りは、体のひねりを助け、前に進む力を補っています。
腕が振れないと、その分脚に負担が集中します。
- すり足
- 足を上げるタイミングが難しくなり、つまずかないように筋肉を固めた「すり足歩行」になります。
→ 安全ですが、消耗の大きい歩き方です。
このように、ひとつの代償が、さらに別の代償を生み、疲れがたまっていく構造になっています。
歩行パターン(Activity)で見える“疲れやすさ”の理由
- 小刻み歩行
- 歩幅が小さい → 前に進みにくい → 歩数が増える → 疲れやすい
- すり足
- 足が上がらず、前に出すために余計な力を使う → 疲労が早い
- 突進歩行(前に傾いたまま速くなる歩き方)
- 歩幅は小さいのにスピードだけ上がり、止まりにくい
→ 効率が悪く、疲れやすい
- 腕振りの消失
- 脚だけで進もうとするため、脚が疲れやすくなる
- 二重課題で悪化
- 話す・考える・荷物を持つと歩幅がさらに小さくなり、歩行効率が一気に下がります。
日常生活の中で感じる“疲れやすさ”(Participation)
歩行の効率が下がると、日常生活のさまざまな場面で疲れやすさが目立つようになります。
🍎家事や買い物など、細かい動作の繰り返しがつらい
🍎人混みや段差で歩くリズムが乱れ、一気に疲れる
🍎話しながら歩く・考えながら歩くことが難しくなり、外出自体が負担になる
🍎お薬の影響で、動きやすい時間・動きにくい時間(ON/OFF)の差があり、生活リズムに影響
🍎転びそうという不安 → 身体に力が入る → さらに疲れやすくなる悪循環
このように、「身体の問題 → 動作の問題 → 生活のしづらさ」が一続きで起こり、疲れやすさにつながっています。
パーキンソン病で疲れにくく歩くためのリハビリ
筋力トレーニングよりも先に行うべきなのは、「楽に・無理なく歩ける歩き方」を取り戻すことです。
- ① 歩幅を広げる練習
- ・足を出す方向を整える
・床のラインなど、目で見て分かる目印を使う
・リズムに合わせて一歩を大きく出す
→ 歩幅が広がると、少ない歩数で進めるため疲れにくくなります。
- ② リズムを使った歩行練習(外的キュー)
- メトロノーム・音楽・手拍子・床の目印など。
パーキンソン病では、リズムがあると動きやすくなる脳の特徴があるため、歩きが改善しやすくなります。
- ③ 姿勢の改善
- ・重心の位置を整える
・胸・骨盤・頭の位置を意識する
・体幹を動かしやすくする
→姿勢が整うと、すくみ足の改善にもつながります。
- ④ すくみ足への対策
- ・動き始める前に体重移動を作る
・進む方向を先に意識する
・最初の一歩を大きく出す
・急に止まらず、減速を練習する
→ すくみが減ると、歩く効率は大きく向上します。
- ⑤ 体幹・股関節を動かしやすくする
- 身体の動く範囲が広がることで、歩幅や前に進む力が出やすくなります。
- ⑥ 動きやすい時間帯(ON時間)に集中して練習
- 効果が出やすく、良い歩き方を身体に覚えさせやすい時間帯です。
- ⑦ なぜ「効率改善」が最優先なのか?
- ・小刻み歩行のまま長く歩いても、疲れるだけ
・すり足のままでは、歩く体力はなかなか上がらない
・姿勢が崩れたままだと、転倒のリスクが高くなる
まとめ
パーキンソン病の歩行が「疲れやすい」「すくむ」「遅い」といった状態になるのは、筋力や体力不足だけではありません。重要なのは“歩行効率が落ちている”ことです。
効率が改善すると、日常生活の疲れ・不安・歩きにくさは大きく変わります。
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