麻痺した手がこわばる・固まるのはなぜ?|脳卒中リハビリの手の麻痺シリーズ③
京都・四条烏丸にある脳梗塞・脳出血後のリハビリに特化した、自費リハビリ施設「re-HAVE(リハブ)」です。
このコラムでは、主に 症状の理解”に焦点を当てて「手がこわばる・固まるのはなぜ?」をわかりやすく解説します。
※本記事は 「脳卒中リハビリの手の麻痺シリーズ③」 です。
手がこわばる・固まってしまう主な原因
脳卒中後のリハビリ相談で多いのが、
「手がこわばってしまう」
「指が動かしにくい」
「ずっと握った形で固まる」
といったお悩みです。
このような「こわばり」の原因は「痙縮(けいしゅく)」だけと思われがちですが、実際には複数の要素が重なって起こることがほとんどです。
- 1. 神経の信号が強すぎる|痙縮・共同運動パターン
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脳卒中では、脳から筋肉へ送る指令が乱れます。
例えば、脳が「人さし指を曲げる」という命令をしても、その信号が必要以上に入り続け、指全体が過剰に曲がってしまうことがあります。これが 痙縮 と呼ばれる状態です。
典型的には、- 手の指が握り込んでしまう
- 指を開こうとしても難しい
- 肘や肩も一緒に力が入る
このような特徴が見られます。
痙縮が強い場合は、改善にはストレッチ、手の使い方の再学習、ポジショニング、必要に応じてボツリヌス治療など、多角的なアプローチが有効です。
- 2. 動かさないことで硬くなる:拘縮 (筋・腱・関節・皮膚)
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意外と見落とされやすいのが、手を長く動かさないことで組織そのものが硬くなる という現象です。
―筋肉が短くなる(筋短縮)―腱や靭帯が硬くなる
―関節包が縮む
―皮膚や筋膜が固まる
といった“構造的な硬さ”が生じます。
特徴としては、
- 手を動かすと節々が痛い
- 関節の動かせる範囲が狭くなる
などが挙げられます。
これは痙縮とは別の問題で、ストレッチや関節の動きの拡大、柔軟性改善が中心となります。
- 3. 運動制御・協調運動の障害運動制御・協調運動の障害:動かし方の問題による「こわばり様の現象」
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脳卒中後は、手や指の動きを細かくコントロールする力が低下します。
—力を入れるタイミングがずれる
—力を抜くことが難しい
—小さな力の調整が苦手になる
—違う関節まで一緒に動いてしまう
—関節どうしの連携(協調運動)が崩れる
といった運動の調整能力の問題です。
その結果、
- ボールをつかもうとすると力が入りすぎてしまう
- 小さな物をつまもうとしても、力のオン・オフがうまく切り替わらない
- 握ろうとすると途中で止まる、または急にガチッと固まる
- 力を抜きたいのに、思っているより手に力が残ってしまう
といった現象が起こります。
これらは “こわばり” のように見えますが、実際は力の調整やタイミングが難しいために生じる現象 です。
改善のポイントは、分離運動の練習、つまむ・押すなど小さな力の調整練習、ゆっくり握る → ゆっくり開く の反復(オン/オフの練習)
- 4. 感覚の問題で力加減ができず“こわばって見える触覚・位置覚の低下
-
意外かもしれませんが、感覚の低下もこわばりの重要な原因です。
感覚が弱いと、
—どれくらい力を入れているか分からない
—手の位置が分かりにくい
—触れられても感じにくい
といった状態になります。
結果として
- 必要以上に強く握ってしまう
- 動かすときに余計な力が入る
という現象が起こります。つまり、
感覚が弱い → 力加減の誤り → 外見上こわばりに見える
という流れです。
対策としては、
触覚の刺激、物を使った練習、手の位置を視覚で補う方法などが役立ちます。
まとめ
手のこわばりは、決して痙縮、筋や関節の硬さ、感覚障害、動かし方の問題のどれか一つだけで起こるわけではありません。
多くの場合、これらが複数重なって起きている“複合的な現象”です。
だからこそ、効果的に改善するためには
・なぜこわばっているのか
・どの原因が関係しているか
・何が本人の動きを邪魔しているのか
を見極めることが非常に重要です。
あなたの手のこわばりの原因がどこにあるのかを専門職が評価することで、リハビリの方向性は大きく変わります。
- re-HAVE(リハブ) でできること
- 当施設では、
▼ 痙縮の状態の評価
▼ 筋短縮・拘縮の評価
▼ 手の使い方の再学習
▼ 電気刺激装置「WILMO」** を併用した機能改善
まで一貫して実施しています。
お悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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