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パーキンソン病と転倒予防|9/22は世界転倒予防デー

パーキンソン病と転倒予防|9/22は世界転倒予防デー

残暑がまだまだ続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
京都・四条烏丸にある自費リハビリ施設「re-HAVE(リハブ)」の理学療法士の木村です。当施設では脳卒中(脳梗塞・脳出血)やパーキンソン病など、神経系疾患に特化した専門的なリハビリを提供しています。

今回のコラムでは、9月22日の「World Falls Prevention Awareness Day(世界転倒予防デー)」にちなんで、パーキンソン病と転倒予防についてご紹介します。

World Falls Prevention Awareness Day(世界転倒予防デー)とは

9月22日の「World Falls Prevention Awareness Day(世界転倒予防デー)」は、転倒によるけがや健康被害を防ぐことの重要性を広く知ってもらう日です。

この機会に、転ばないために何ができるかを考え、行動するきっかけの日としていただけましたら幸いです。

パーキンソン病と転倒リスク ー日本の転倒の現状ー

転倒は高齢者にとって身近なリスクですが、特にパーキンソン病の方は転倒リスクが非常に高いことが知られています。

たとえば、歩き始めの一歩が止まってしまう「すくみ足」や、方向転換の際のふらつきなど、日常のささいな動作でも転倒につながることがあります。

ある日本の研究によると、

  • パーキンソン病が進行して、歩行やバランスが難しくなった段階の方々では、過去1年間で転倒した人が約80%に上る
  • その中でも複数回の転倒を経験した人は約60%に達する

と報告されています。この段階では、日常生活を送るために、部分的な介助が必要になることが多いです。

さらに、

  • 転倒場所は、居間や寝室、台所など屋内での転倒が多いと報告されています。
  • 転倒により、けがや骨折する方も決して少なくなく、地域在住のパーキンソン病の方で歩行やバランスが難しくなった段階の方のうち、約25%が骨折を経験しています。

「家の中なら大丈夫」と思っていても、ほんの一瞬のつまずきが大きな事故につながることがあります。パーキンソン病のリハビリにおいて転倒予防は配慮すべき重要なテーマです。

パーキンソン病における転倒の特徴

主な原因として、以下のような運動機能障害の特徴があります。

姿勢反射障害 *
体勢を急に立て直す力が低下し、バランスを崩しやすくなる。
すくみ足 *・
突進現象 *
歩き始めや方向転換時に足が動かず、転倒リスクが増加。
歩行障害
歩幅が狭く、歩行速度が遅くなり、足元が不安定に。
反応・反射速度の低下
バランスを崩した際に反射・反応が遅れ、転倒を防げなくなる。
バランス障害
立位や歩行中のバランスが不安定になり、転倒しやすい。
筋固縮 **(こわばり)
筋肉の硬直で歩行や動作が不自由になり、バランスが崩れやすい。


*「姿勢反射障害」「すくみ足」「突進現象」の詳細につきましてはこちらをご参照ください:

コラム「パーキンソン病に特徴的な歩行パターンとは?」:https://re-have.jp/blog-detail/post-970/

**「筋固縮」の詳細につきましてはこちらをご参照ください:

疾患について「パーキンソン病」:https://re-have.jp/disease-detail/post-550/


パーキンソン病における転倒リスクを高める主な要因

  • 身体的要因:筋力低下、バランス障害、歩行障害など、前項参照。
  • 薬剤・治療の影響:オンオフ現象 (薬の効果が急に現れたり切れたりする現象) 、低血圧、めまい
  • 環境要因:段差や障害物 (トイレの段差・床の敷物やカーペット、コード等)、滑りやすい床、照明不足
  • 心理的要因:転倒を恐れるあまり、歩くのが鈍くなり、かえって転倒リスクを高める


転倒予防のためのアプローチ

リハビリで運動療法 (バランスの改善、筋力強化、歩行能力の向上など) を行うことが、パーキンソン病の方の転倒予防において非常に重要な役割を果たすことが多くの研究で示されています。

パーキンソン病における運動療法については以前のコラムで詳しく取り上げたたため、以下リンク先の詳細をご参照ください。



そのため、本コラムではそれ以外の転倒予防アプローチについてお伝えいたします。

パーキンソン病の方の転倒リスクを減らすためには、運動療法だけでなく多角的な視点からアプローチすることで、より効果的に転倒予防が行えると言われています。

薬物療法の調整
○ オンオフ現象の管理:薬の効果が安定する時間帯を意識して活動し、転倒リスクを減らす。

○ 低血圧やめまいの管理:薬剤調整で低血圧やめまいを抑え、転倒リスクを軽減。

環境の整備
○ 段差や障害物の除去:部屋内の段差を解消したり、障害物を取り除くことで、安全に移動できる生活空間とする。

○ 手すりの設置:転倒リスクの高い場所や段差のある箇所に手すりを設置。
滑り止めの対策:滑りやすい床に滑り止めマットを使用。

○ 照明の改善:足元を照らす十分な照明を確保。

認知と心理的アプローチ
○ 転倒恐怖の軽減:心理的サポートやカウンセリングで不安を減らす。

○ 自信を持つためのリハビリ:歩行練習で自信を高めることで、動作をスムーズにする。

生活習慣と健康管理
○ 十分な睡眠:質の良い睡眠で体調の良い状態を維持する。

○ 栄養管理:筋力と骨の健康を維持する栄養管理。

○ 定期的な体調チェック:医師による診察で健康状態を管理。

社会的支援とサポート
○ サポートネットワークの活用:家族やケアスタッフとの連携で転倒予防を支援。

○ 社会的孤立の防止:外出や活動の支援で精神的な負担を軽減。


当施設では、専門的な評価に基づいて、お一人ひとりのニーズや目標に合わせたオーダーメイドのリハビリを実施しています。

ぜひお気軽にご相談いただけたらと思います。

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